一週間の逆立ち

日曜日

　　
私は、自分の体を見下ろした…

(服を着ていない！)

何も着ていない私は、裸のままシーツに包まっていた。

慌て布団に滑り込み、もう一度ゆっくりと亮に見開いた目をやった。

『なんだよ。今更。いつもじゃん。』

昔と変わらない笑顔で、当たり前と亮はサラリと笑った。

裸の背中を私に向けると、滑らかな指でギターを弾き始める。

私は、状況を理解しようと必死に鈍った頭を回転させ整理する。

(これは夢？なの…ここは亮の部屋で…隣に居るのは…亮。そして…私は…？)

布団の脇に脱ぎ散らかしてあるシャツをむんずと掴むと、取り敢えず羽織ると慣れた足取りでロフトの階段を早足で下り、ユニットバスへと飛び込んだ。

中に入り扉を閉めると、正面の鏡に自分を写した。

(私…だ…よね？)

そこに映っているのは化粧もしていない昔の自分。

(私だ…。。。若い。)

私は、両手でベタベタと触れる限りの顔のパーツに触れ一つ一つ確認する。

ひん曲げても笑っても私の顔だ。間違いない。

叩いても、つねってみてももちろん私の顔だった。