13人が本棚に入れています
本棚に追加
意識のあるまま亮と寝た。
裸で寝ていたのだから、きっと昨日もそうしていたんだろうと思ったが、意識ある中でするのとは違う。
でも、もっと抵抗があると思っていたのに…
私は、彼を覚えていた。
体は自然に動き、彼を受け入れた。
私が零す名前も彼の名前で、彼が私を呼ぶ声にも自然と心が震えた。
そう、何度も何度も名前を呼んでくれるこの人は…
私を本当に愛していると思っていた。
私も、彼以外いらないと思う程愛していた。
私達は呆れる程体を重ねた。
時間を忘れて何度も重ねた体に疲れ、亮は私の横で眠っている。
私は、不思議な気持ちで亮をただ見つめていた。
コンプレックスだと言う癖のある赤茶色の髪。
初めて肌を見せた時に見せてくれた、肩にある大きな痣。
短く不器用そうに見える短い指は、人の倍練習をした事で、人の倍器用に動く。
私に何度も口付ける少し腫れたような唇。
あの時のままの彼が眠っている。
私は、意識が冴え痺れた体のまま眠れずに、光りが指すカレンダーを見つめた。
(今日は何日なんだろう…)
私は、ぼんやりと考える。
(何故ここで今更彼と寝たんだろう…)
私は、彼の胸に滑り込む。
ここは居心地がいい。私は、彼と寝ると体の半分を補った様な気持ちになれた。
足を絡ませ、体を添わせ眠る。ピースの半分を嵌めたようにピッタリな体。
私は、この場所を失って心壊れたのだから。
最初のコメントを投稿しよう!