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(なんだよ。みんなして…。)
遼平は行き場のない気持ちを込めてそのボールを思いっ切り蹴った。
(意味わかんないよ…。)
転がっていくボールを見る瞳には、涙がじわじわと溢れていた。
強がりと言っても小学生。まだ感情を抑える事なんか出来るはずもない。
(もういいや…。)
そうつぶやくと肩を落とし振り返り家に向かって歩き出した。
誰もいないはずの校庭に背を向けながら…。
ボールは校庭の砂を巻き上げながら不規則に転がっていった…。
そして勢いを無くし止まりかけた時、ボールは不意に宙に浮かぶ。
それは規則正しく回転し、軽やかに踊るようになんどもなんども宙に舞い上がる…
心地良い音を奏でながら…。
一人の少年の足によって…。
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