キックオフ。

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『吉田、矢野、山本。 ドンマイだって!やられたもんはしょーがねーって。』 隆志は次にスリーバックになった三人のDF陣に声をかけた。 「あー。判断ミスっちまった。すまん…。」 ふぅ~っと息を吐き吉田が謝る。 『大丈夫、だから謝んなって。』 「でも…、DFラインの位置が難しくてさぁ…。」 二年の矢野が自信なさげに応える。 『おいおい、いきなりラインディフェンスなんて出来る訳ねーだろ?そんな難しくて考えんなって!』 隆志は笑みを浮かべながら話す。 「えっ!だって…。」 『ハハッー!誰もトルシエジャパンみたいにって言ってねーよ。フラットスリーなんていきなり難し過ぎるって!それは、今日勝ってから練習しよーぜ!いつも通り目の前の相手を止める!空いてたらフォローにまわる!それだけだって!』 隆志は三人の顔を見回しながらゆっくり話した。 「そうだな。目の前の相手を止める!いつも通りだ! おっしゃー!」 吉田が声を上げ気合いを入れた。 「うん!だね。ぜってー止めてやる!」 矢野、山本も少し吹っ切れた様子だ。 『よぉーし。いい感じだ。ガンガン行こうぜ!みんな。』 隆志はパンッ!パンッ!っと手を叩き話しを終えた。 そして、センターサークルに試合開始の為向かって走る。 センターサークルで一人待つ遼平を見ながら…。 (あとは、あいつだけだな。) そう、呟いた。
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