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食べ終わった彼はソファーに座りテレビを見始めた
私も隣に座りテレビを見る
「なぁ 正月…実家に帰るよ」
彼は下を向きながら言った
「…うん じゃあ 私も実家に帰ろうかなぁ~」
「親父なぁ…入院してるんだよ…」
「え…?」
「……おふくろから電話があってな…俺に心配かけたくないからって 今まで黙ってたって…」
「………」
「でも…もう隠せないって…おふくろ…泣いてた…親父…もう…ダメだって…」
「え……う…そ…」
「正月に会えるか…さえ…わからない…」
彼は泣いてた…
私は何も言えなくて…
なんて言えば…って考えてた
両手をギュッと握りしめながら…彼は声を上げて泣いた…
そんな彼を見るのは初めてで…
私は彼の震える肩を抱きしめた
「……ごめんな…ごめん…俺…親父がいなくなるなんて考えたこともなくて…子供の頃 叱られてばっかりで…親父なんて嫌いだって……」
「…うん……」
「だけど…親父…親父は……」
「うん わかった 大丈夫…大丈夫だよ…会えるよ お父さんに会えるよ…」
「……ああ…ごめんな」
そう…あの日…酔って家に来た日…
父が入院してる事を告げられた
だから 私に会いに来た…
なのに…私は…私は…
わかってあげられなかった…
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