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長年筆箱で眠ってきたが、こんな思いは初めてだ、
その赤くほっそり伸びた体、
積極的で活発な性格、
あ~、
一度でいいから話がしたい、
一度でいいから触ってみたい、
そんなことを思っていると頭が熱くなった、
何考えてるんだ俺、
まったく恥ずかしい限りだぜ、
妄想の熱は冷めたはづなのに、
まだ頭が熱い、
気付けば、主人が俺を持ち、すごい勢いで何かを消していた、
アッツ、アチチチ、おい、やめ、止めろ
いつもそれを見て赤エンピツちゃんは笑っていた、
その笑顔にいつも苦笑いで返す俺、
決めた今日こそは話しかけるぞ、
決めた、絶対決めた、
帰りの筆箱の中、
俺は右に左に揺られながら、赤エンピツちゃんに近づいた、
頑張れ俺、話しかけるんだ、
アカエンピツチャン?・・・
ボソッと、早口で言った、赤エンピツちゃんは、
寝ているのか、動かない、
はあ、失敗だ、終わりだ、もう勇気が残っていない、
落ち込んでいると、大きな揺れがきた、
グラン、ガタン、ジャラジャラ、ドスーン、
筆箱が何回転もした、
目が回り、気分が悪い、
ちょっと、
いきなり下から声がした、下を見ると、なんと赤エンピツちゃんを下敷きにしていた・・・・
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