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主人が、「この消しゴムじゃあこの頃消えなくなったな~」って言うのも無理はない、
地面にめり込むくらい、落ち込んだ消しゴムくんじゃ、消すどころか、紙を破ってしまう状態だった、
そうなってしまうと、歯止めがきかないのが、消しゴムくんの悪いところで、
自分のいた、間違った字を消す、
というポジションが、シャーペンの消しゴムに取られてしまうまで落ちてしまった、
その夜、
消しゴムくんをみかねた辞書さんが、
「少し話をしてもいいかね?」
と、言った、
ホコリまみれで、変な臭いがするようになった消しゴムくんは、
「どうぞ」
と、了承した、
辞書さんは、ゴホン、と咳払いを一つしたあと、独り言のように、聞いてきた、
「君はまだ、赤エンピツさんが好きかね?」
「わかりません・・・」
「わからないもんか、よく考えてごらん」
「・・好きなのかもしれない、でも、もう無理です、嫌われました」
「嫌われた?あの子がそう言ったのかい?」
「言ってません・・でも・・」
「わしは君にもう少しだけ頑張って欲しい、きっとまたチャンスはくる、そう信じなさい」
消しゴムくんは、わかりました、と言ったが、
正直、あきらめていた、
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