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その日家に帰って真希に名前で呼ぶ様に言われて1人で練習したが全然言えないでいた。
「絶対無理…。1人でも言えないのに本人の前じゃ言えないよ……」
結局その日拓也は呪文の様に真希の名前を繰り返していた。
次の日あまり寝れなかった事と真希を名前で呼べるか心配なせいで憂鬱(ユウウツ)になりながらも、真希と仲良くなれた嬉しさがあって、複雑な気分で学校に向かった。
放課後に真希は図書室にやってきて拓也の横に座った。
けど本を読むだけで話しかけてはこない。
「山村さん…?」
真希は依然として拓也の存在に気付かないふりをしている。
名前で呼べって事か……。
「ま…真希ちゃん?
すると真希は今初めて拓也に気付いたかの様に拓也を見た。
「ちゃんと名前で呼べるじゃない、そういえば拓也君て何で授業出ないの?拓也君のクラスの子がずっと来てないって言ってたけど。」
拓也はフッとため息混じりに
「僕、クラスではのけ者だから…」
と言った。
「いじめられてるの?」
真希のその言葉に拓也はカッと体が暑くなって顔も赤くなった。
いくら自分は悪くないと思っていても真希には知られたくなかったのだ。
拓也は黙っていたがその後小さくコクッと頷いた。
真希は拓也の反応を見ると外に出ようと言って席をたった。
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