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「あ…
ぼ…僕……そんなつもりは……」
拓也は震えていた。
先生は女の子に駆け寄り傷を見ると、呆然と立っている拓也に向かって非難の目を向けて声を荒げた。
「桐野君!!そこで待っていなさい!
後で親御さんに来てもらって事情をお話しします!!」
そう言い捨てると急ぎ足で教室を出ていった。
その日の放課後二人の子供の母親は学校から呼び出され女の子の母親は拓也とその母親に怒りをぶつけていた。
拓也は言い返そうとしたが、言葉が言おうとする度に消えていった。
自分の母は頭を下げ、申し訳ありません!と繰り返し謝っている。
拓也はこんなにも謝る母親を初めて見て言い返すのはやめようと思った。
けれど絶対に自分は謝るまいと心に決めていた。
この女は自分を蔑んだ目で見て自分が何をされてようが「気持ち悪い!」の一言で済ませた!
拓也は自分の感情を無くす事で長い日々を耐えてきた。
その感情がここにきて溢れ出してきて怒りが拓也の心を支配していた。
結局その日は女の子の母親が言うだけ言うと満足したらしく女の子を連れて帰っていった。
拓也は母親と帰り道を歩いている時に母親の顔を見上げた
母は泣いていた…
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