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拓也は母親の涙に心臓の辺りがチクッと痛むのを感じたが何も言えなかったし、やっぱり学校には行きたくなかった。
それからの拓也は学校をサボりがちになった。
朝早くに家を出てもあてもなく公園のベンチで時間を潰したり学校へ行っても保健室や図書室で一人で過ごした。
教室へ行きまたあの笑い声を聞くのが嫌だった。
あの自分を見る目が嫌だった。
拓也が"イジメ"を受け始めてから季節は一巡りしようとしていた。
小学生も後少しで終わる…
拓也はそれだけが嬉しかった。
拓也は学校に楽しさを求めなくなっていた。
学校へ行かないとお母さんが悲しむ。
その事だけが拓也が学校へ足を運ぶ理由になっていた。
ある日いつもの様に図書室で本を読み、読み終えた本を棚に戻しに行った時だった、
拓也は一人の女の子がいる事に気付き、いつもの癖で相手には気付かれない様に顔を見た。
………!!
衝撃的だった…
拓也は一目で心を奪われた。
しかし身に付いてしまっている習慣でサッと顔を隠して棚に本を入れると足早に図書室を出た。
校門を出て帰る途中も拓也はその子の横顔だけを思い出していた。
まだ心臓がドキドキしている…
拓也はこの1年間、全ての人を避けてきた。
けれど抑えられない気持ちが沸き出して止まらない…
もう一度あの子に会いたい!
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