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次の日学校へ着くと拓也は真っ先に図書室に向かった。
けれど彼女の姿はない。
拓也はその日1日中図書室で彼女を待った。
けれど彼女はその日最後まで図書室には来なかった。
「名前は何ていうんだろう。
どこのクラスなのかな…」
拓也は次の日も、その次の日も図書室でその子が来るのを待った。
そして彼女を初めて見た日からちょうど1週間後、
彼女はついに図書室に来た。
拓也は自分で待っておきながら興奮し過ぎて訳が分からなくなっていた。
そしてそんな気はなかった筈なのに、いつの間にか彼女に話し掛けていた。
「その本好きなの?
僕も大好きなんだ」
図書室に入り浸っていたせいで大抵の本は読んでいた。
女の子は一瞬困った顔をしたが、結局自分に対して話してるんだと分かって拓也に振り向いた。
身長は拓也より少し低くてさらさらした黒髪が肩まで伸びている。
「あなたは…?」
「ご、ごめんなさい!そ、その、前に一度ここで君を見掛けて…ぼ、僕もその本が好きだったから、その…」
拓也は自分で何を言ってるか分からなくなっていた。
彼女は拓也が困っているのを見てクスッと笑って微笑んだ。
その笑みは今まで拓也を笑ってきたどの笑いとも違う、
自分の全てを受け入れてくれる様な暖かい笑顔だった。
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