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映画の内容を聞いたとき、馬鹿らしく思った。
「凄い話だね」
息を吐くように笑うと、彼女も吊られたように笑う。
「ロマンチックだ、って言って笑うかもしれないけど私が望むのはそれだけ」
そう言って目を伏せた彼女。
白い肌には長い睫毛の影が落ちる。
凄く綺麗。彼女はロマンチックの塊だ。
玄関は冷たく、手足は冷えてきた。
まだ3月なのに関わらず。
彼女があの時、教えてくれた、映画館でバイトをしていた訳は、クラシカルハニーという映画に惚れたから。
僕が彼女に目を奪われた様に、彼女もその映画に目を奪われたのだろう。
付き合い始めた恋人同士が居てね、その恋人たちは9月の3日に付き合うの。
男の方は、彼女へと毎月3日に薔薇を1本プレゼントするの。
凄く・・・・・・ロマンチックでしょう?
薔薇は50本くらいになって、立派なドライフラワーになったわ。
男は薔薇を見つめては、僕達の愛の証だ!って言うの、そして毎日愛しい彼女へと愛を囁く。
でも、彼女が事故で死んでしまって、男は悲しみに暮れるんだけど、彼女の棺の中に一緒に入って彼女に寄り添い、今まであげた、薔薇のドライフラワーで棺の中をいっぱいにするの。
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