12時のベルを合図に、

ジュエリーボックス

彼女の18の誕生日には、ジュエリーボックスを送った。

透明なガラスでできた、3つも引き出しがあるジュエリーボックス。

きっとたくさんの指輪やブレスレットが入る。

彼女は自分の誕生日に、そのジュエリーボックスを貰うと、泣き出した。

嬉しい、とても綺麗、その2つの言葉を彼女は何度も繰り返していた。

赤い包装紙に包まれて、白いリボンで結ばれていた、そのプレゼント。

僕は彼女に渡すための、そのプレゼントを彼女に手渡すまでの間、大事に大事に持ち運んだ。

そんな自分を思い出して僕は、少しだけ可笑しくなった。

思い出すのは彼女のロマンチックな一面と泣き顔ばかり。

何故だろう、もっと楽しい日々を送ってきたはずなのに。

1年も付き合ったんだ。

ジュエリーボックス、ピアス、指輪。

誕生日、クリスマス、バレンタイン。

迎える祝い事の度に、僕たちはプレゼントを贈り合った。

彼女が僕にくれた、ジッポとネクタイピン。

そして今日、僕は彼女からプレゼントを貰う予定だった。

ロマンチックな彼女は何をくれるのだろうか。