14人が本棚に入れています
本棚に追加
どうして、別れを告げられたのか、そんなことすら分からない。
貴方と居ると辛い、だなんて理不尽すぎる。
僕に何の相談も無しに、一方的に別れを告げた彼女の身勝手な行動に腹が立つ。
僕は手に持ったジュエリーボックスを投げ出したくなる衝動に駆られる。
「ちっ・・・・・・くそっ!」
髪をかき乱す。
そのまま玄関の壁に背中を凭れかけると僕は座り込んだ。
彼女と、別れの言葉を目の前にして・・・・・・何も言えなくなるだなんて不恰好すぎる。
せめて理由くらい聞いておけば良かった。
僕の腕の中のジュエリーボックスを床に静かに置く。
冷蔵庫のモーター音と、時計の秒針が時間を刻む音。
それだけが部屋に響く。
1年間付き合ったんだ。
彼女と。
そう、夢みがちでロマンチストな彼女と。
夜景を見たら、必ず綺麗と言っては、はしゃいで、酔いしれる、そんな彼女。
僕は彼女より年上だった。
余裕を持った表情を彼女の前では崩さなかった。
何がいけなかったのか、検討がつかない。
僕は頭を抱えて悩むばかりだ。
最初のコメントを投稿しよう!