ソロコン

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ノドがしまり、響きも窮屈な僕の歌声に転機が訪れたのは、3月末の定期演奏会の前後である。 このとき、共演する吹奏楽部も含めてかぜ・インフルエンザなどが大流行した。一度はやりだしたら止められるものではなく、どんなに先生や部長が注意しても事態は悪化するばかり。ぼくは毎日、ひりひりするノドをむりやり広げて高音を伸ばしていた。 こんな状況で良いはずがない。最後の最後で流行に負け、ぼくは本番前日に高熱をだした。インフルエンザだ。 もはや出演の望みはない…と思われたが、奇跡的に熱が下がった。もちろん無理はできないので、皆が朝一で出勤するところを午後のリハーサルから参加。本番が終わると片付け、反省会、打ち上げをパスしてそそくさと帰った。 体が本調子でなかったので最高のステージとは言えなかったが、自分たちだけでつくる初めての定演はとても楽しかった。これについて語り始めるときりがないので、今回はここまでで打ち切らせてもらう。
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