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「冗談…?」
途端に揺するのをやめる手。その代わり、今度は掴む力がどんどん強くなっている。
「えーと…ごめん!」ズバン!!!
俺が謝るのと同時に平手打ちが飛んできた…黄金の左!
「ほんっと信じらんない。この私に嘘をつくなんて。もう起きたから帰っていいわよ。」
「はい…すみませんでした」
解放令で部屋に戻る。ぶたれた頬がまだ痛む…。
毎度の事ながら容赦がないな…しかし、何を隠そう彼女、もとい三嶋月音こそが俺が地獄の一年間を過ごす事になった一番の原因なのだ。
彼女とはいわゆる幼なじみってやつで、年は俺のが一つ下だが、まるで姉弟みたいにずっと一緒だった。
幼稚園の頃からよく遊んだりしていたほどだ。
そして、昔から頭が良かった彼女は去年あっさりと全国的にも有名な私立の進学校に入学してしまったのだ。
理由を聞いたら、近いし結構有名だから、という何気ない答えが返ってきたが、俺にとっては国を揺さぶる程の大問題である。
実を言うと、俺は昔から彼女に思いを寄せており、いつか一緒の高校にでも行って思い切って告白しよう、なんて事を考えていたのだ…しかし、現実ってのは意外とキビシッ!
成長するに連れ成績という悪魔のような存在の影響を受け始めた俺は、次第に落ちこぼれと言われる部類にはいっていた。
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