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ここは大国メルカトルの首都フィメールにある王城。
話はシオンがメルカトルに帰ってくる数日前に遡る。
「女王陛下!!」
一人の兵士が慌てた様子で謁見の間に飛び込んでくる。
玉座に座っている老人とも言えないが、決して若いとも言えない女性、女王が兵士に訊ねる。
「どうしたのですか?」
女王は兵士の様子からただ事ではないと判断し、兵士の話に耳を傾ける。
兵士は息も絶え絶えになりながら大声で女王に報告する。
「も、申し上げます!!
只今、ここフィメール近郊にて漆黒の鎧を纏った兵隊が多数接近中!!シルディア兵だと思われます!!
報告によりますとその数……――」
兵士が唾を飲み込む音が謁見の間に響いた様な気がした。
それ程、この場の空気が張り詰めているのだ。
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