†守護者は世界を守る守護神へ†

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そうして登り続けていたシオンとシリルの前に、鉄の枠で縁取られた木製の扉が見えてくる。 ここを開ければ時計塔の最上部へと出られると分かると、シオンは片手で扉を開け、冷たい雨の降りしきる外へと出る。 既に乾き始めていた髪や服は、すぐに雨粒を吸ってずぶ濡れになってしまう。 まだまだ雨が止む気配はなさそうだ。 (っ――!!ジェシカの魔力が……いや、大丈夫だ。傍にフローラと王雷の魔力もある。ジェシカの想いはフローラに届いてるに決まってる) シオンは駆け出しそうになる身体を全力で抑えつけて、自分のやるべき事、自分がやらねばならない事に集中する。 水分を吸収して重くなったコートのポケットから神器を取り出し、中指に装着して瞼を閉じる。 意識を指輪に集中させて神器としての力を覚醒、発動させる為に魔力を流し込む。 魔力の流し込まれた指輪は淡い光を発するものの、それほど大きな力は感じられない。 「くっ……やっぱり俺の力じゃ無理だったか」 シオンは全ての属性の魔力を持っているが、それは全てにおいて有利に働くというわけではない。
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