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前にも言ったが、この神器はシェラの命そのものなのだ。
それを発動させる為にはシェラの持つ属性、その力の魔力だけを神器に込めなければならない。
だが、シオンは全ての属性を持っている為に、少量とはいえ魔力に不純物(他属性)も流れ込んでしまうのだ。
本当に僅かなものだが神器を作る過程なら、少量の不純物が混ざっていても大きな問題にはならないのだが、神器を起動させるとなると、それが大きな妨げになる。
「本当なら見ているだけにさせたかったんだけどな……シリル」
グランが雨に濡れないように、だが自分達が見えるような位置に座らせていたシリルは、シオンに呼ばれて振り返る。
「何?」
「お前の魔力で……神器を発動状態にまで持っていってくれないか?俺には出来ないが、シリルなら可能、いや、シリルにしか出来ないんだ……属性を持たないシリルにしかな」
前にシリルが言っていた。『私の属性は分からないの』と。
それは当然なのだ。シリルの魔力に属性はない。
ないと言っても『無属性』だと言うわけではない。
無理矢理にでも言うのなら『魔力』というもの自体がシリルの属性なのだ。
全ての根元にあり、その全てに属さないもの。
それがシリルの属性。全ての神器を例外なく発動させる事が可能な、シオンが知る限り世界で唯一無二の存在。
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