†守護者は世界を守る守護神へ†

36/37
21321人が本棚に入れています
本棚に追加
/400ページ
「そんな事はない。初めての長旅でシリルも、フローラもジェシカもよくやってくれたよ。お前らの中の誰かが欠けてたら、ここまで来る事は出来なかったと思ってる。 ありがとう……それと――ごめんな」 最初はシオンの言葉に照れたような顔をしていたシリルだが、シオンの最後の言葉を聞いて顔を上げる。 そして『何がごめんなの?』と聞こうとした時、シリルの意識が渦を巻くようにして混濁し、その場で崩れ落ちる。 シオンはシリルを抱きかかえてグランの隣に寝かせると、その寝顔を見つめる。 これはシオンが『これから起きる出来事』をシリルに見せないように魔術で眠らせたのだ。 「たぶんお前は怒るだろうけど、俺の最後のワガママなんだ……いつか時が経ったら、許してくれよな」 そうしてシオンは時計塔の最上部に立ち鉛色の空を見上げる。 空を見上げていた視線を手元に落とすと、シオンは自身の身体に流れる全ての魔力を手のひらにある神器へと流し込む。 それと同時に流れてくるのは神器となったシェラの意識。 何を言っているのか言葉の上では理解できなくとも、感覚の上では理解できる。
/400ページ

最初のコメントを投稿しよう!