†Epilogue† ―Sion―

2/10
21321人が本棚に入れています
本棚に追加
/400ページ
シルディア帝国での戦から一年。 あれからシルディア帝国は大変の一言に尽きた。 シルディア帝国を纏めていた帝王は墓碑に刻まれていた通り、ミズリィの手で殺められていた。 その帝王の息子である王子も『メルカトルを攻めよ』という命令を最後に姿を現す事はなかった。恐らくミズリィの手で既に殺められたのであろうと推測されるが、真実は闇に葬られたままだ。 指導者のいなくなったシルディア帝国が先ず最初に行ったのは、新たな指導者を祭り上げる事。 それに選ばれたのは、戦災孤児を引き取り、育てている水神が適任だという黒冥の一言により、水神が推された。 だが、水神はそれを拒否。『私はこの子達と静かに余生を過ごしたいから』と言うのが理由だったのだが連日現れては土下座して頼み込んでくる腰の低い重鎮達に圧され、最後には『落ち着くまでならやってあげるわよっ!!やればいいんでしょっ!!』と粘り勝ちされた。 だが黒冥と重鎮達の考えは正しく、水神が指導者となってからシルディア帝国は平和で暮らしやすく、他国とも深い交流を持つ良国となり、戦前には見られなかった笑顔が今は、どの町のどこを見ても溢れていた。
/400ページ

最初のコメントを投稿しよう!