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「おっはよ~ミリアにミーナ」
ギルが二人を見かけて声を掛けつつ、近付いてくる。
「おはようギル、今日も脳天気そうで羨ましいわ」
「おはようございます。つーか、気安く呼び捨てにしてんじゃねぇぞ三流魔術師が」
ミーナに笑顔で辛辣な言葉を投げかけられたギルは『えぐえぐ』言いながら目から雨を降らせていた。
そして城の中からフレイを中心にアルム、セレス、ニアが出てくる。
視界にはミーナによって多大な精神的ダメージを負わされたギルが映っているはずなのだが、当然のように総無視を決め込んでいる。
「ちょっ、誰か慰めろよっ!!」
「五月蝿いわよ」
「ええ、五月蝿いわね」
「あらあらあら、こんな所で座ってると邪魔よ~?」
「ぐっはぁっ!!」
上から順にニア、フレイ、セレスの言葉がギルの心の傷に塩を塗り込んでいく。
ギルは自分を慰めてくれるであろう最後の希望アルムに視線を向ける。
「ん、何だ?気持ち悪い目で俺を見るな。俺に男色の気はない」
「俺にもねぇよっ!!俺はガチで女好きだよっ!!若いピッチピチ(死語)が大好きなんだよっ!!」
「うわっ……こいつロリコンだったのね」
「キモ」
「ちっがあぁぁあうっ!!ってか、今『キモ』って言った奴誰だコラッ!!」
彼らは今日も楽しそうに平和な日々を過ごしている。
この平和が、明日も明後日も、そして一年後、十年後も続いてくれるようにと祈りながら。
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