†Prologue†

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少年が戦場で〝鬼剣の王〟と呼ばれ始めてから三年後にそれは起こった。 亜麻色の髪の少年は戦場に立ち、マジュを殲滅する為に大量の魔力を篭めて腕を振るう。 すると少年の魔力は斬撃となりマジュに放たれる。 少年の前にいた数百体のマジュは身体を半分に斬られ、塵だけを残して蒸発していく。 鬼剣の王とは少年が殺していく様を見たマジュに付けられた二つ名だ。 マジュが死んでいくのを遠くの安全な場所から見ている大人達が少年を褒め称える。 それに気分を良くした少年がもう一度腕を振るおうとした時、少年の足に長い銀色の髪の少女が抱きついてくる。 「ねぇ……お兄ちゃんは何でも持ってるんでしょ? じゃあ私に〝平穏〟と〝家族〟を頂戴……」 少女の言葉が少年の人生を変える。 この日から数ヶ月後、ヒュマ最強の魔術師は組織を脱退、逃亡した。一人の少女と共に、手にした全てを棄てて――
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