初仕事

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「ハァッ、ひぃっ~。なぁ~ゼンよぉ~。なんて暑さだこの土地は!ちっとも楽な仕事じゃねぇじゃんよぉ~?」頭にヘアバンドをした少年が岩にワイヤーをかけながらしかめっ面で呟く。 「まあそんな事言うなって~、シュウが発掘が気になるって言うから連れてきたのに。早く終わらせてマツさんの店に行こう!一杯おごるからさ。」ニット帽を被った小柄な少年がなだめながらケータイをポケットから取り出す。 「マサさん?準備OKです。WFを起動してください。」ゼンは手慣れた様子で岩にへばりつきながら誰かと話をしている。 「ハッハ~!!マジで!?じゃあマッハで終わらせようぜ~!!こんな暑いとこから早く抜け出さないとスルメになっちゃうぜ~!」おかっぱ頭のデッカい兄ちゃんがテンションを上げて張り切る。 まだ熱いのではないかと思えるような赤黒い色をした大きな錆びた鉄の塊をワイヤーで固定してカーゴに載せると、ゴッツい作業機械が轟音を響かせながら動き出した。 普段は二人で仕事をするのでWFの運転席にはマサさんが助手席にはゼンが乗るのだが、今回はシュウと一緒にカーゴに乗っているので少し寂しそうな顔をしていた。
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