回り出した歯車

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「へぇ、じゃあ少しは進歩したみたいね。」 「そうですかね。」 「そうよ。名前で呼び合うようになったってことは距離が縮まってきたってことだと、あたしは思うわよ。」 ―ここは棚橋広告1階受付― 私の大好きな職場だ。 今喋っていたのは、受付の先輩で御影 華蓮(ミカゲ カレン)。 彼女は23歳で名家のお嬢様らしい。 でもそんな人がここで働いているのが私には不思議でならない。 「ほら、琉子は人と変に距離を作ろうとしてる所があるのよ。だから...心配だったの。」 その言葉にビクッと反応する。 「そうかもしれませんね...。私、...いや、後でお話します。」 今言えないと思った。 あの話をしたら必ず泣くから。 「あのッ!!!!」 ...お客がきたようだ。 「はい、ご用件は何でしょう....か。」 慌てて話かけてきたお客に対応すると、 「琉子??琉子なのか???」
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