5人が本棚に入れています
本棚に追加
「なぁエックス、なら何故その田宮でトップクラスのこの双子をコーチに寄越すんだ?」
確かに不自然である、さくに宣戦布告をした田宮は何故、エース間違いなしの亜夢と沙雨をさくに渡したのだろうか。
「おそらく田宮は、生身の人間でなくクローン技術でさくさんに勝ちたいのでしょう。」
そんな話を聞き、まったく知らなかった自分達を悔やむ亜夢と沙雨。
「そんな……私たちはどぅすれば良いのですか!…私たちのクローンが皆を不幸にさせてしまう…そんなの耐えられません!」
泣きじゃくる亜夢。
「そんなの、私がやっつけてあげる!ずっと田宮の傍にいながら、まったく知らなかった自分が情けないわ!」
強気でいながらも、涙を隠せない沙雨。
皆、自分の無力さに嘆いた。
自分にもっと力があれば、律を救えたかもしれない。
自分にもっと知識があれば、田宮の陰謀を暴けたかもしれない。
それぞれの想いが交差する。
「なら…」
エックスが口を開く。
「なら戦えば良い。負かされた律さんの為に、そして無力だった自分の為に。」
先程まで、闇に打ち負かされていた心に光が射すように、面々の表情が一変した。
「そうだな、姉貴の為に戦わなくちゃな。」
「私達のクローンを作って世界を狙うなんて、許せないわ。」
「ただソレだけじゃなく、律姉さんを巻き込むなんて。」
エックスの言葉で三人は立ち上がった。
それまで絶望しかなかったさくの表情にも、少しだけ笑顔が戻る。
最初のコメントを投稿しよう!