双子

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「なぁエックス、なら何故その田宮でトップクラスのこの双子をコーチに寄越すんだ?」 確かに不自然である、さくに宣戦布告をした田宮は何故、エース間違いなしの亜夢と沙雨をさくに渡したのだろうか。 「おそらく田宮は、生身の人間でなくクローン技術でさくさんに勝ちたいのでしょう。」 そんな話を聞き、まったく知らなかった自分達を悔やむ亜夢と沙雨。 「そんな……私たちはどぅすれば良いのですか!…私たちのクローンが皆を不幸にさせてしまう…そんなの耐えられません!」 泣きじゃくる亜夢。 「そんなの、私がやっつけてあげる!ずっと田宮の傍にいながら、まったく知らなかった自分が情けないわ!」 強気でいながらも、涙を隠せない沙雨。 皆、自分の無力さに嘆いた。 自分にもっと力があれば、律を救えたかもしれない。 自分にもっと知識があれば、田宮の陰謀を暴けたかもしれない。 それぞれの想いが交差する。 「なら…」 エックスが口を開く。 「なら戦えば良い。負かされた律さんの為に、そして無力だった自分の為に。」 先程まで、闇に打ち負かされていた心に光が射すように、面々の表情が一変した。 「そうだな、姉貴の為に戦わなくちゃな。」 「私達のクローンを作って世界を狙うなんて、許せないわ。」 「ただソレだけじゃなく、律姉さんを巻き込むなんて。」 エックスの言葉で三人は立ち上がった。 それまで絶望しかなかったさくの表情にも、少しだけ笑顔が戻る。
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