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病院をあとにした明流と沙雨は川原の道を歩いていた。
「さて、これから忙しくなるな。」
「そうだね、これからは特訓の日々!」
沙雨が気合いを入れて返事をすると、明流から一枚の紙を渡される。
「なにこれ?にんじん、たまねぎ、じゃがいも、糸こんにゃく・・・ってホント何よこれ!」
そこには食材の種類と量が書かれていた。
「沙雨、お前は今日から我が家の一員だ、そして田宮を倒す戦士!その最初の仕事は、おつかいだ。」
明流が体育会系らしい口調で沙雨に命令する。
「はぁ?なんで私が?いきなりおつかい!?」
沙雨が反発するが、明流は動じずに言う。
「お金はこの封筒に入ってるから、おつりはレシートと一緒に返してね。スーパーと家までの道も、紙に地図で描いてあるから大丈夫よね?じゃ、私は先に帰ってるからヨロシク!」
それだけ言うと明流は一人で先に家路を急ぐ。
「ちょっと待ってよ!何よそれ!・・・・ったくぅ、何で私がおつかいなんか。」
あわてて追い掛けようとしたが、明流は急な猛スピードで駆けていったので追い付くことが出来なかった。
一人取り残された沙雨は、仕方なく紙に書いてあるスーパーまで行く。
店に着くと決められた食材を探し始めるが、慣れない店なので食材の場所がわからず、沙雨は困り果てていた。
「あのぉ、ちょっと良いですか?」
見知らぬ声に呼び止められ振り向くと、そこには自分と同じくらいの女の子がいた。
「お節介かもしれませんが、野菜のコーナーはあっちですよ?」
「ん?な、なによ!今から行こうとしてたの!まったく余計なお世話だよ。」
沙雨は負けず嫌いな性格からか、素直に感謝せずに言い返してしまった。
「はぅぅ...すみませんです。」
女の子は謝り、顔を赤くする。
沙雨は少し悪いことをしたなと思いつつ、教えてもらった野菜コーナーに行く。
気が付くと女の子も付いてきており、沙雨にアドバイスをしてくれている。
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