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「改めまして、亜夢です。今日から私は月光さんの家にお世話になることになりました。よろしくお願いします。」
ペコリとお辞儀をする亜夢、見た目から言うと小学三年生くらいであろうか、とても良くできてる子である。
「沙雨です。よろしく。」
亜夢と比べたら無愛想な子であるが、この年令なら普通の子くらいだろう。
そう判断した明流が手を差し伸べる。
「亜夢ちゃんがコーチの家ってことは、沙雨ちゃんはウチに来るんだろ?よろしくね♪」
パチンッ!
「気やすく触らないで、初対面なのに馴々しいわ。」
「こら沙雨!明流お姉ちゃんに何てこと言うの、謝りなさい。」
亜夢が沙雨を叱り付けるが、『そんなの知らないねぇ』といった態度で反省の色はない。
『生意気なガキ』
そう思った明流が沙雨の頭を軽く叩く。
「いったぁぁい、何するのさぁ!」
沙雨は痛みに対して以外と脆いらしく、明流の生温い一撃で半ベソをかいている。
「これからは私があなたのお姉ちゃんになるんだから、生意気な口はきかないの。わかった?」
「わ、わかったわよ…」
納得がいかないような不満な顔で返事をする沙雨。
「二人とも仲良くやるんだよ?それにしても、あなた達に一番紹介したかった律ちゃんが…」
亜夢と沙雨が部屋にきて、少しは涙が後退したかのように見えたさくの目から、また涙が込み上げてくる。
「お婆ちゃん、泣いちゃダメだよ。律お姉ちゃんならきっと良くなるから、その間は私がお婆ちゃんの傍にいるから。」
そう言いながら亜夢はさくにハンカチを渡す。
「ありがとうね、亜夢ちゃん。私も信じてるよ。」
隣での会話を聞かず、ずっと律の事を見つめる沙雨。
「沙雨どうしたの?姉貴ばっか見て。」
体育会系の明流は自分の方が上だとわかると沙雨のことをすぐ呼び捨てにした。
そして沙雨もさっきの一撃で上下関係がわかったのか、それに対して反発しない。
「なんで、こんな事になったのかなって思って。話に聞く律姉さんは一流のレーサーだと、それに当日の律姉さんはスーツにFRPを装備してのに。」
"FRP"、そう彼女が言ったものはレーサーの特殊スーツに装備出来るパーツで主にレーサーの装甲板になる物であり、体への過負荷も抑える事が出来る。
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