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さくは屋上で一人悩んでいた。
『もしかしたら、律はホントに再起不能になるかもしれない。』
その事を思うたびにさくの胸は張り裂けそうになっていた。
当日の体調は万全だったし、スーツとシューズのセッティングも信頼できる昔からの付き合いの工場で完璧だったはず。
何故かという理由を必死で考えるさく。
単なる突発的な故障と言えばそれまでだが、さくは考えられずにはいられなかった。
『月光さくさんですね?』
急に後ろから若い女性の声が聞こえる。
看護士かと振り替えるさくだが、そこにいたのは"メイド服"と呼ばれるものに身を包み、体が機械かのように足や手が動く度にモーター音のする女性だった。
「私は決して怪しいものではありません、とご主人様が言えと。
原因をお話いたしましょう、とご主人様からの命令です。」
不思議な娘さんだと思いながらも、さくはその女性の言葉を信じ話を聞く事にする。
「…そ、そんな嘘でしょ!あの人が…」
「いいえ事実です、と飼い主様からの言葉です。」
その場で涙を枯らさんばかりの勢いで泣き始めるさく。
その姿は何処か虚しく、怒りが込められていた。
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