純愛Lullaby.

2/3
前へ
/9ページ
次へ
  「先輩…」 「ん?」 「先輩はいつも昼休みになるとこの広場にいるよね」 「…………」 俺が通っている学校は自然に囲まれていて、校庭の端には野原を思わす芝生や草木が並んでいる。 そこで先輩は寝転がって空を見ていた。 「空…」 「え?」 「空見るの…好き」 「……」 「ここで寝転んで空を見上げるの…落ち着く」 そう言って先輩は俺と反対の方へ寝返りを打つ。 先輩は小柄で背中も長身の俺とは比べ物にならないくらい。 「先輩」 「なっ!抱きつくなっ」 思わず先輩を後ろから抱きついてしまった。 後ろ姿が可愛かったからつい…なんて言ったら怒られるに違いない。 でも先輩の背中はドコか寂しそうで堪らなかった。 「先輩…歌って…先輩の歌声好き」 「いきなり何だよ」 「…でもやっぱり先輩の方が好き」 「ワケがわからん」 会話をしていると、だんだんと先輩の声が聞こえなくなる。 先輩を見るとここの居心地が良かったのか眠っていて、静かに寝息をたてていた。 「…先輩」 「…………」 「好きだよ…先輩」 夢の中で届くよう先輩の耳元で告白をしてみた。 END
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加