純愛Lullaby.

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  「先輩…」 「ん?」 「先輩はいつも昼休みになるとこの広場にいるよね」 「…………」 俺が通っている学校は自然に囲まれていて、校庭の端には野原を思わす芝生や草木が並んでいる。 そこで先輩は寝転がって空を見ていた。 「空…」 「え?」 「空見るの…好き」 「……」 「ここで寝転んで空を見上げるの…落ち着く」 そう言って先輩は俺と反対の方へ寝返りを打つ。 先輩は小柄で背中も長身の俺とは比べ物にならないくらい。 「先輩」 「なっ!抱きつくなっ」 思わず先輩を後ろから抱きついてしまった。 後ろ姿が可愛かったからつい…なんて言ったら怒られるに違いない。 でも先輩の背中はドコか寂しそうで堪らなかった。 「先輩…歌って…先輩の歌声好き」 「いきなり何だよ」 「…でもやっぱり先輩の方が好き」 「ワケがわからん」 会話をしていると、だんだんと先輩の声が聞こえなくなる。 先輩を見るとここの居心地が良かったのか眠っていて、静かに寝息をたてていた。 「…先輩」 「…………」 「好きだよ…先輩」 夢の中で届くよう先輩の耳元で告白をしてみた。 END
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