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「おい、聞いたか?真治」
まったく、いきなり突拍子の無い事を言いだすな……
ここは俺がバイトをしているレストランにある喫煙所だ。まあ、喫煙所と言っても建物の裏にある社員用入口付近に、よくコンビニ等に置いてあるような灰皿が設置されているだけで、立派なもんじゃないがな。
んで、俺に話し掛けているこの男は俺と同じでここでバイトをしている“神崎悠一”という奴だ。歳は俺のほうが1つ上なのだが、「1つだったら、ほとんど同期じゃん!」という訳の分からない理由でもの凄い気軽に話しかけてくる。
「……やけに楽しそうだな?」
「あったり前だ!これが楽しまずにいられるか!お前には分からんだろうなあ…この胸の高鳴る何とも言えない感じ」
気色悪い…というか、俺にはお前の何故そんなにハイテンションなのかが分からないんだが……
「いいから、そのなんでそんなに楽しいのかを教えろ」
俺は吸っていた煙草を灰皿に入れた。
「ああ。もちろんさ。この楽しさを共に分かち合おうじゃないか!!」
誰だよ…お前……?
「いいか?よく聞けよ………なんと!今日ここに新しいバイトがやって来るのだ!!」
…………は?
「……聞いて損したよ。それのどこが楽しい事なんだ?」
「まあ待て。これには続きがあるんだ……そのやって来る奴はな……19歳の女なんだ!!」
…………はあ…で?
「すまん。お前の言う楽しいというものが理解できんのだが?」
「何!?この実に喜ばしい事が理解できんというのか!?」
だから…お前、誰なんだよ?
「新しいバイトが来る事も、そいつが19歳の女だろうが、よくある事じゃないか」
「お前なぁ…それでも健全な男か?」
「お前よりは健全だと思う……」
そう言い残し、今度こそ店内に戻ろうとしたその時だった……
「すいません」
女の子の声が聞こえた。とても可愛いらしい声だった。
「あ、あの…今日からここで働く事になってる、岡崎未来という者なんですけど…」
セミロングの黒髪。優しそうな瞳。白のワンピースを着ている、絵に描いたような美少女が真治達の目の前に立っていた。
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