第二章

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どのくらいの時間そこにいただろう… マクドナルドの作業員のお兄さんが私達の側に近づいて来た。 「どうしたの?」 と尋ねられた。 とても優しい笑顔で。 「妹がお腹がすいたって…」 と兄は私の様子を伺いながら答えた。 何故?お兄ちゃんもお腹すいてるはずなのに… 作業員のお兄さんは、傷だらけの私達を、ゆっくり下から上まで眺めてから、またお店の方へ戻っていった。 するとお兄さんはハンバーガー二つと、他に何かを持って、また私達の側に寄って手渡した。 「またおいで」 と兄の頭を撫でながら言って、お店の中に戻っていった。 私達は泣きながらハンバーガーを食べた。 あの時の味はこれから先も忘れはしない。 そして、あの時ハンバーガーと一緒にもらった、当時のハッピーセットのオモチャだと思われる、プラスチックでできたくねくねした蛇の人形はどこへおいてしまったのだろう…なくしてしまったのかよく覚えていないが、大事に今までとっておかなかった事を今さらながら後悔している。 その後も何度か、母の目をぬすんでは、兄と二人で、お兄さんの元へ足を運び、そのたびにハンバーガーを頂いていた。
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