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「なあ君さぁ、シルビアに乗ってるってことはもしかして自分が速いって勘違いしてる走り屋さ~ん?」
「だったらなんだって言うんだ?別に自分が速いとか思ってはいないがな。」
乱暴に愛車をノックしてきただけではなく、まるで小馬鹿にするようなその問いかけに少々苛立って、タメ口で答えていた。
「あ?生意気なクチ利いてんじゃねぇぞ?お前、俺らが『THE E,N,D』のメンバーだってわかっててそんなクチ利いてんだろうな?」
「『THE E,N,D』?ああ…」
(確か二輪の暴走族上がりが中心に集まったチームだな。)
「ああ、じゃねえよ。俺ら今さ、姫野県民のために超周りに迷惑かけてる走り屋さんたちを撲滅しよ~って頑張っちゃってるわけよ。」
「なるほど、今俺らのなかで問題になってる『走り屋』潰しか。車の持ち主だけじゃなく、その車までボコボコにしてくっていう奴らがいるってのはお前らのことだったか」
「な~んだ、俺らって結構有名人?」
「みたいっすね。じゃあ先輩、この走り屋さんも拉致っちゃって二度と走れないようにしちゃいますか?」
と、もう一人の男が車内を覗き込むようにして言ってきた。
「あれ?先輩、今まで気付かなかったすけど、こいつ女連れてますよ?しかも結構可愛いっすよ。」
(まずい、気付かれたか。俺一人ならこんな奴ら二人くらいどうにでもできるが、この子を巻き込むわけにはいかない。)
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