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「おいおい、てめー走り屋のくせに女なんか連れてんじゃねーよ。てめーみてーに『自分が1番速い』って顔で女連れてんのがムカつくんだよ!」
そういい終わると、男は勢いよくリョウの胸倉を掴んできた。
「………」
全く身に覚えがない言われ様と急に胸倉を掴まれたことで、リョウの怒りゲージは静かに上がっていく。
しかし、リョウは怒りを押し殺すように
「こっちもな、一応走り屋だ。これからボコられるかも知れないってのに『はいそうですか』って大人しくやられるわけにはいかないんでね。本気で撲滅運動してるなら、死にもの狂いで俺のこと捕まえてみるんだな。それじゃ。」
言い終わると同時、胸倉を掴む手を無視するかのようにシルビアを急発進させる。
掴んでいた男の手が軽くドアに当る音がしたが、リョウは気にする事もなくそのままの勢いで駐車場を出た後も加速し続ける。
120km/hを超えた時点でアクセルを緩める。
雨が降っている事と、隣には例の女の子も乗っている。万が一にも事故を起こせない状況だ。リョウは自分の力量を考え確実にコントロールできる速度を維持する。
「追ってはこれないか…当然だな」
ミラーを確認しながらつぶやく。
ふと、隣の彼女が終始大人しかったことに気がつく。
「いやぁ、変なのに絡まれちまったよな。怖くなかったか?あ、そういえばお前の名前って…」
一瞬彼女の方に顔を向ける。
(って寝てるし…家わかんねーじゃんか)
だが何か様子がおかしい。
さっきの男たちが追ってきてないことを再度確認し、道路脇に車を停める。
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