1.SIRENT Rain

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小鍋を火に掛け、おかゆが出来上がるまでの時間に、リョウは2、3時間ぶりのタバコに火を付けた。 「ふぅ~、うめ~。タバコ最高。しかし、あの二人組。どうも気になるな。『THE E.N.D』のメンバーってことは、このまま大人しく引き下がるとは思えない。しかも最悪なことに、あの子の顔まで見られてしまった。一応後であいつらにも知らせておくか。」 そこに、真夜が様子を見に来た。 「ま~た独り言いってる。ちゃんとおかゆ作ってる?…うん、上出来上出来。」 「俺だってそのくらいできるさ。それより、あの子の様子はどうだ?」 「とりあえず、体拭いて着替えさせて今はベットに寝せてるよ。で、携帯と学生証を見つけたんだけどさ…。」 「ん?どうした?」 「一応念のためと思って、あの子の親だと思う番号にかけてみたのね。でも、通じないっていうか今は使われてない番号みたいなの。」 「使われてないって…じゃあ家の電話は?」 「かけた。でも呼び出し音はするんだけど誰も出ないんだよね。」 「う~ん、そうか。参ったな。明日まであの子の様子を見て回復を待つしかないか。」 「それしかないね。ってか兄貴。さっきからあの子あの子って言ってるけど、もしかして名前知らないなんてことないよね?」 「え?知らないけど?」 「は?名前も知らない女の子を家に連れてきたの?バッカじゃない!?」 「しかたないだろ。状況が状況だったんだ。聞く暇なかったんだよ。」 「はぁ、まったくこういう事はもうやめてよ?」 「はいはい、わかったよ」 「あの子の名前は『橘 空羽(くう)』、近くの朝日ヶ丘女子高の2年生17歳。まずいんじゃないの?高校生を家につれてくるなんて~?」 「げっ、朝女かよ。しゃれにならんなぁ。って高校生!?俺、もっと幼く見えたから中学生だと思ってた…」 「中学生ならもっとマズイと思いますが。幼く見えるのは確かだけど、中学生と間違えることはないでしょ…。ってか、自分ん家の近くの高校の制服もわからないとは…妹として情けない。」 「確かに…情けない兄ですいません…」 妹には勝てない、それがリョウという人物の一つの特徴であった。
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