1.SIRENT Rain

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「さて、そろそろ上がるか…」 時計の針が午後8時を回っているのを確認すると、タバコの火を消しながらリョウはそんな独り言を言っていた。 タバコの火が消えたのを確認し、自分専用のロッカーを開け帰り支度をしていると、何か妙な違和感を感じた。 (何か今日は気が乗らね~なぁ…) 今日は花の土曜日。いつもなら愛車のS13で峠に繰り出すのが週末の日課となっていた。 そのためいつもなら早く走りに行きたくてバタバタと帰り支度をするのに、何故か今日に限って気分が乗らない。 むしろ憂鬱にさえなりそうだ。 「まあ、こんな日もあるか」 妙だなと思いながらも、また無意識に小さく独り言を言うと、リョウは事務所兼休憩所のドアを開けた。
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