1.SIRENT Rain

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「えっ、ホント!?ありがとー♪」 そう言いながら彼女の表情は先ほどまでの鬼気迫る表情から一変、満面の笑顔になっていた。 「礼を言われることでもないさ。それより…」 と、リョウが言いかけてるそばから、彼女は余程嬉しかったのだろうか、リョウの声が全く耳に入っていないようで小走りでレジに駆け寄り会計を済ましていた。 「う~ん、やっぱ今時の10代の女子は行動力がハンパね~なぁ」 あっけに取られ立ち尽くし、目を細めながら少しオヤジくさい独り言を言っていると、 「ありがとね~、ばいばいっ」 と、またもや満面の笑顔で元気いっぱいに手を振りながら店内から出て行った。 リョウは、内心多少は後ろ髪を引かれる思いもあったが、気にしなくていいよという感じで、軽く手を上げて答えると同じくレジで会計を済ませようと、レジの棚に買い物カゴを置いた。
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