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会計を済まし、出入り口の自動ドアが開くと、期待はしていなかったがやはり雨は降っていた。
静かに弱く、だが確実に触れる者を濡らすSIRENT Rainが…
リョウは雨に濡れるのを嫌って足早に愛車のS13に乗り込み、何気にフロントガラスに降り注ぐ細かく小さな雨粒を見ていた。
(ふぅ…、もうちょうど1年近くにもなるのか…。お前はもうどこか遠い所で元気にやっているのか?それとも…)
と、不意に運転席側のウィンドウをノックする音が聞こえた。
少しハッとして、音の方を振り向くと
「っ!?君は…」
なぜかコンビニ店内で雑誌『フルスロ』を譲ってくれと言ってきた中学生(?)と思われる女の子が立っていた。
そしてやはり傘はさしていなかった。
少し動揺しながらパワーウィンドウを操作し開けると、
「あー、やっぱりこのシルビアおじさんのだったんだね?コンビニ入る前に見かけて気にはなっていたんだけど、あたし急いでたからスルーしちゃってさぁ…」
そう声を掛けられたリョウだったが、最初の一言以降は耳に入っていなかった。
「ちょっと待て。俺はおじさんと呼ばれるほど老けちゃいないぞ。これでも21だ。」
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