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「う~ん…、お兄さんのことだからナンパしてる訳でもなさそうだけど…、やっぱり青春真っ只中のか弱い乙女としてはやっぱ不安だよね~」
おそらく無意識に『おじさん』から『お兄さん』に変化してることから、彼女は今までとは一変して真面目に答えているようだった。
だが「青春真っ只中」はまだしも、「か弱い乙女」宣言は、目の前のびしょ濡れの彼女と先程のコンビニ内での出来事を照らし合わせると、どう足掻いても「か弱い少女」には思えなかった。
そんな事を考えていたので、リョウは顔が笑いに引きつりそうになるのを必死に堪えていた。
ある程度笑いが収まってきたのを見計らってリョウは口を開いた。
「もしなんなら、俺のシルビアのナンバーをシャメで撮って親なり友達になり送るといいよ。そうすれば、君に何かあったとしても俺はまっさきに容疑者として捕まるだろうし、ましてや俺はこれでも走り屋だ。逮捕されて愛車に関われなくなるような危険を冒してまで、目の前の女の子に何かしようって気はさらさらないよ。」
「う~ん……、ん~……。わかったよ、お兄さんのこと信じるよ。たった5,6分だし、それに13シルビアにも乗ってみたかったしね♪」
少しの間、リョウという人物を見定めるように見つめながら考え込んだ後、彼女はそう決断した。
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