淡い季節

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淡い季節

 白い空に、硬く乾いた土の匂いがわずかにして、あまり数年、大雨も降ることがなかったと思う。…と、思うと言ってしまうと、その頃がひと昔前に、過ぎた季節のようで、よい思い出なのだから、贅沢なのだけれど不機嫌になる。  歳も取ったのだろう。  いとおしい人生や生活、美しい人達に、触れていた季節。  歴史や思い出を知り、裏切りすら素敵なものに、昇華した季節。   人類の抱く人生の上にある、このささやかな哀しみを止める力を、戴いたから、ほんとうに私の季節は、移り変わったかもしれない。  あの季節を過ぎて今、未来を知る力について、愛について、知りたいと思う。
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