第五章

2/36

762人が本棚に入れています
本棚に追加
/174ページ
三人が同じ夜を過ごして、あれから三年の月日が流れた。 そして三年の月日と共に、この世界の、見えざる闇は更に深みを増す。 場所は、サンシアン王国を拠点に、『元(モト)月影の都』がある場所までの距離を中腹とした、先にある『クランク』という樹海の奥深く。 その森の中を白衣を纏った面々が颯爽(サッソウ)と駆けていた。 白衣を纏った人間は、何かから逃げるように走りながら、まるで声になっていない声を張り上げ、 「だっ…だれ…!うぁうわぁ~っ!」 声の主の一人が、樹木の根に足を引っ掛けその場に倒れ込む。 そして腰を抜かした一人を残し、残る二人は見て見ぬ振りをして足早に去っていく。 腰を抜かした一人は、走って来た方向を気にしながら、尻を引き摺るように後退り、自身を追って、追い付いて来た“モノ”を眺め、表情が崩れた。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

762人が本棚に入れています
本棚に追加