第五章

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白衣の『男』と思われる人間が見た、その“モノ”を別の言葉で表すならならば、“突然変異の化け物”である。 全体像は『ドラゴン』と呼ばれる飛龍種に酷似していた。 しかし、それは小さく人間並みの大きさで、腕の代わりに伸びる翼は『翼膜』と呼ばれる飛龍種独特の翼とは異なり、ぷよぷよとした、ゼリー状の液体であった。 今は折り畳むように体に巻きつき、時折もぞもぞと動いている。 その、広げれば直径四メートルはあると思われる大きな翼と、強靱な体格とは相俟って、地面を掴む足はとても細く、そして無駄なく引き締められており、 更に尻尾は、針鼠(ハリネズミ)のような針が、猫のような細めの尻尾に無数に逆立ち、それが1メートル程続き、 その、練り動く尻尾の先端部分にある、他と比べて明らかに太い針が、一本。 光りながら地面をズリズリと擦(コス)り、近付いて来る光景を見ると、鳥肌が立つ。
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