第五章

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そして、なんと言っても、一番の異様に見えるのは、頭部だろう。 それは首を馬のように伸ばしており、目玉が無く、顔と呼んで良い部分が無い。 しかしそれは、顔の替わりに、ワームのような大きな口を一つ開いていた。 形は丸く、唇が無く、大きく開かれた口には、その円に沿って鮫に似た鋭い牙が無数に重なり、並んでいる。 そしてその口の中央には、食べた獲物を待ち構える如く、枝分かれした舌が、ちろちろと蠢(ウゴメ)いていた。 それが一体姿を現した後に、後ろの林が『がさごそ』と揺れ、更に一体、もう一体と姿を現すと、 白衣を纏った男は、腰のベルトに手を伸ばし、紐で簡単に括り付けている拳銃を手に取ると、その紐を軽く解き、化け物に向けて躊躇(タメラ)い無く発砲した。
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