第五章

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放たれた弾丸は、空気に触れる事により、瞬時に熱気を纏いながら、化け物の頭部目掛け、音を裂きながら一直線に進んで行くが、その弾丸が化け物に着弾する事は無かった。 「何だよっ!くるなっ…くるなっ!」 やだやだやだやだ! 死にたくない、死にたくない… 何が起こったのか理解できない男は、錯乱し。腰を引き摺りながら、一発、更に一発、『パンッ!パンッ!』と音を響かせるが、化け物のには当たらず。 先程放った弾丸と同じく、化け物を通り越して、後方に生えている樹木に着弾し煙を上げるだけだった。 「あっ…あっ…」 『カチカチカチッ』 そのうちに玉は尽き、男の表情は絶望と恐怖に染まる。 そして、男が攻撃の手を休めた瞬間、それを察知した化け物の一体が男に飛び乗ると、男はそれに力無く反撃しようとする。
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