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『カヴィンの日』それは突然訪れた。
そもそもの切っ掛けは、やはり、月の魔力と影の魔力を別々に分け与えた事であった。
魔力を別々に与えた為、月と影の魔力が互いを一つに戻そうとし、多少の魔力の歪みが生じた結果。
そこに現れたのは、黄土色で奇妙な光沢が眩しい、縦横共に三メートルはあろうかという、デザインが無い四角い扉。
そして扉を囲むように現れた松明が四本、緑色の炎を灯していた。
現れた扉は、既に片方が薄く開いており、そこから一本の腕が伸びていた。
しかし扉は、腕一本が通れる隙間以上に開く事が無く、その腕はもう片方の扉を『ドスドス』と音をたてながら暴れだす。
「グギャッグギャッグギャッグギャッグギャッグギャッ…」
更に扉の向こう側から、止まる事無く奇怪な鳴き声が響き、それを見ていたサクラ、ノア、数人の魔術師に悪寒が走り、声が飛び交う。
「あれはいったい何が起こったんだ!?」
「おぉ…あれは…」
「何だじじい!早く説明しろ!」
「あれは…、死者じゃよ…」
「はっ?何だよそりゃ?死者ってのは人間じゃねぇのかよ!?」
「つまりじゃ、あれは哺乳類、魚類、鳥類、あとは何じゃ…」
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