第五章

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まもなくして、“ざわざわ”とした騒音が綺麗に止んだ。 ことを合図のように、全校生徒が用意されていた卓上に、一斉に注目を寄せる。 「これより、学園長による祝辞を預かりたいと思います。それでは学園長御願いします!」 その直ぐ後、ステージ前の左脇で生徒らさき若者がマイクを通して言うと、“つかつか”とステージ脇から学園長が現れる。そして中央まで歩くと立ち止まり、此方を振り向いた。 “あっ!!” サクラは思わず叫びそうになる。 あっ、ぶない危ない。入学早々、新入生の中心で叫んでしまうところでした… と、息を詰まらせ、安心に吐息を漏らした瞬間だった。 「はっ!?何でおっちゃん!!?」 新入生の中央付近にいるにもかかわらず、ノアが無粋な表情で絶叫した。 当然、生徒の視線が、隈無くノアに向いたのは言うまでもないだろう。
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