序 童話喫茶・アメティースタ

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序 童話喫茶・アメティースタ

【童話喫茶・アメティースタ】 場所は、幸戸市麦の里二丁目。駅前からも十分と近い。 店内は童話を入れた本棚がある分少し狭いが、圧迫感は無く、落ち着いた雰囲気さえある。 名前の由来は、いたってシンプルで、宝石のアメジストをイタリア語にしただけだ。 店員は、青年二人と小さな看板娘も入れると三名。 この喫茶店には、一風変わった掟がいくつかある。 中でも、この店の特徴を知らしめているのが、大きく分けて4つ。 一つ、寡黙を愛する店長を怒らせてはならない。 一つ、穏やかな時間を楽しむ人だけがくること。 一つ、看板娘のアリスを泣かせないこと。 一つ、店長がチョイスしたティーカップから自分専用のティーカップを選ぶこと。 これらをクリアしてはじめて、この店の客となれるのだが、まず、一番最初の掟をクリアすることは、無理だ。 なんせ、午後のお茶を無駄話しながら飲もうと考えている近所の奥さま方や、学校帰りにだべる目的で入ってくる学生たちには、まったく貼り紙が見えていない。 そういった客は即刻、店長に追い出され、出禁をくらう。
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