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ドアを押し開くと、カラン、とドアチャイムが鳴った。
薄暗い小さな店の中は、細長い箱で埋め尽されている。
銀色の箱はどれも細長いが大きさは様々で、筆箱くらいの小さなものから、私の身長よりも少し大きいのではないかと思えるくらいのものまである。
それらが隙間なく低い天井まで壁一面に並べられている。
全ての箱には全体の半分の大きさのプラスチックの窓がつけられて、中に入っているものが見える。
見えるというよりは、私は視られている。
無数の瞳が私をじっと見つめている。
箱の中身は全て、人形だ。
おびただしい数の人形は、全て精巧な作りで、私と同じくらいの身の丈の少女の人形はまるで生きているかのようだ。
人形たちは性別、容姿ばらばらでひとつも似通ったものはない。
無数の視線を感じながら、私はいつものように奥に進んだ。狭い店内ではすぐに壁に突き当たる。
箱を間仕切りのようにして区切られた、人ふたり入るのがやっとのスペースに、小さなテーブルと椅子が二つ置かれている。
奥の椅子にこの店の主が座っていた。
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