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その後、携帯を没収され、彼のアドレスや二人の思い出は全て消された。
そして…
毎日…家族から批難を受け続けた彼女は…
公衆電話から彼に電話し、一言だけ残して、切った。
「…もう……無理だよ……」
『…もう……無理だよ……』
電話から聞こえてきた声に、
気付けば車を出していた。
思い当たる場所を探していると、とある神社の横の公衆電話で倒れている彼女を見つけた。
駆け付け、抱き起こす。
「おい!しっかりしろ!!」
本当は、ほとぼりが冷めるまでと思っていた。それが、彼女にとっての最良の選択だと信じていたのに…
「っ…────……」
小さく囁かれた言葉…
『おいてかないで…』
愛しくなって、強く抱き締めると呼吸が激しくなっているのに気が付いた。
(過呼吸になってる…)
「おい!わかるか!俺を見ろ!!」
肩を優しく叩きながら声を上げると、閉じていた目はボンヤリと開いて、彼を見た。
「大丈夫だ。ゆっくり息をしろ…な…?」
彼女は彼の手を握り、ユックリと呼吸を落ち着かせていった。
過去に一度だけなった時も、袋を使わず、こうしてユックリと呼吸をさせて落ち着いた事があった。
それは、医者の友達が施した方法で、通常は袋を使った方が早いのだが、吐き気を催す事があるらしいので、声で落ち着かせる療法をとった。らしい。
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