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漸く落ち着いたのを見計らって、車に乗せる。
「大丈夫か?」
頭を撫で、問うと
「うん。」
とだけ答えた。
そのあとは、彼の家に着くまで、二人は無言のまんまだった。
玄関の前まで行くと、彼女はそこから動かなくなった。
「どうした。入れ。」
「……」
不安げな表情で自分を見つめる彼女を側まで行って抱き寄せた。
「もう、放さない。」
抱き締める腕に力を入れると、抱き返す彼女の腕。
そのまま、彼女を抱き上げて
寝室へ運び、ゆっくり降ろすと、真っ赤になって見上げる彼女がいた。
「二人でいよう…」
「でも…」
「どこか、遠くに行こうか…
誰も知らない…遠い土地へ…」
なにそれ?隠居?
と笑う彼女をベッドへ沈めて、その上に覆い被さる。
「何もかも、捨てられるか?」
「最初から…覚悟は出来ていた…」
「そうか…」
「ね…」
「ん?」
「愛してるよ…」
「俺も、愛してる」
このまま世界の果てへ
二人で墜ちて行こうか…
彷徨う当てさえ…無い。
燃え尽きたなら同じ空へ…
こうして、彼らは駆け落ちをし、全ての人から連絡を絶った…
行き先は一つ。同じ空へ…
終
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